
こんにちは、HOTMUSIC情報局、スタッフAです。 前回はGhost Note Audioの「超」メタルなプリアンプをご紹介しましたが、
今回はもう一つの目玉、デジタルエフェクトペダル『Daedalus(ダイダロス)』シリーズを深掘りしていきたいと思います!
『演算の美学』が紡ぎ出す、デジタルエフェクトの新たな地平
さて、プリアンプがあれだけ硬派なアナログ回路だったのに対し、この『Daedalus(ダイダロス)シリーズ』は、創業者Veldemar氏の真骨頂とも言える「高度なデジタル・アルゴリズム」が爆発しているシリーズです。
ここには、80-90年代の高級ラック機材の質感を現代に蘇らせる「スタジオクオリティの再現」と、破壊衝動たっぷりなデジタル・ファズのような「挑戦的なサウンドデザイン」という、相反するような要素が同居しています。
一見バラバラに見えるラインナップですが、共通しているのは「デジタルでなければ到達不可能な表現を、一切の妥協なく形にする」という極めて本質的な設計思想です。
それでは、ラインナップされている3機種を見ていきましょう。
Swirls
まずはこちら、『Swirls』。 一言で言えば「モジュレーション・ペダル」なのですが、そのサウンドは驚くほど立体的かつ、ある意味で...「象徴的」と言えるかもしれません。
本機は単なるステレオコーラスのみではなく、なんと、コーラス / デチューン / コンプレッサーの機能を備えています。
コーラスはDyno my piano系、所謂「トライコーラス」系をデジタル内で再現しています。6ノブの中に上手くコントロールを落とし込まれているだけでなく、3相コーラスの非常にリッチな揺れを見事に再現しています。
デチューンは同期オーバーラップ・アド方式(SOLA)と呼ばれるアルゴリズムです。現代ではこれより遥かに進んだアルゴリズムが用いられて自然なピッチ編集が実現していますが、SOLAではピッチを変える為に切り離した波形同士を繋ぎ合わせる際に、独特なアーティファクトが発生するため、ボイス数に応じて音の厚みが増します。
コンプレッサーはラックタイプのVCAコンプレッサーで、アタックタイムを最大170msまで調整出来るため、ギターやピックアップの特性に応じて、どれくらいアタックを捕まえて強調するかの調整が容易です。
ハーフトーンのカッティングに合わせて粒を揃えるセッティングにするもよし、アルペジオのサステインを美しく聴かせるのもよし...と、使いやすいコンプレッサーです。
コーラスやデチューンのMIX値を0にすれば、純粋なコンプレッサーとしての使用も十分可能です。
コンプレッサーでサステインを伸ばし、アタックに「あの時代」特有の固さを付与し、デチューンで音像を厚く広げ、コーラスで揺らす...。3in1のエフェクト群全てがそのサウンドに向かってピッタリと吸い付いていくような感覚すら覚えます。
ラック機材特有の「あのリッチな質感」をペダルボードに収めたいなら、2026年現在、これ以上の選択肢はないかもしれません。
ギタリスト 二木元太郎さんによるデモ演奏はこちら。
3bit Fuzz
続いて、名前からしてインパクト絶大なのがコチラの『3bit Fuzz』。 「ファズ」と名付けられていますが、中身は非常に興味をそそるモノラルのデジタル・ファズ / ビットクラッシャーです。
凶悪なまでにタイトな歪み、デジタルだからこそ調整可能なゲート感、Ghost Note Audio らしい「キレの良い」フィルターセクション。
この3bit Fuzzも、どんなに深く歪ませてもボヤけず、マシンガンのようなリフを刻むのに最適です。
また、MIDIにも対応している為、コントローラー類と組み合わせる事で矩形波に近いシンセサイザーのようなリードトーン ギターを弾いているはずなのに、まるでアナログシンセのフィルターを絞り込んだような、唯一無二のフィルターサウンドや、クリーンをブレンドして自然な音色との行き来を演出する事もできます。
コントロールも非常に多彩です。
信号は3バンドに分割された上で、
上の帯域は歪み方を切り替え可能。
中音域の信号は位相の反転が可能。驚くほど全体の印象が変わります。
特筆すべきはMODEスイッチで、クリッピングセクションと、プリ/ポストフィルターのオン-オフやクロスオーバー帯域のバリエーションが8通りから選択可能です。
素直なディストーションサウンドに寄せることも、ゲロゲロなジャパンファズ的なサウンドに寄せることも出来ます。
ギターだけでなくシンセにもおすすめです。
一般的なファズに実装されている「ゲイン」「トーン(EQ)」だけに留まらない、デジタルだからこそ実装出来る多くのコントロールが、「理想のファズ」に欠かせない要素に気付くきっかけにもなると思います。
Amverb
こちらはリバーブペダルです。
メーカーオフィシャルサイトによるとAlesis社の MIDIverb2を再現しているようです。
元となったAlesis Midiverb2は、現在の基準から見ると決して最高のオーディオ性能を誇る訳ではありませんが、初期のデジタル機材特有の、「少しザラザラしていて、」「どこかノスタルジックな気持ちになる」、そんな印象の音です。
現在も人気が高く、先日訪れたレコーディングスタジオでリバーブの話になった際も、たまたまMIDIVerbの話が上がったりもしました。
MIDIVerb2は現代からすると特殊な操作性でした。
細かなパラメーターは無く、基本的には番号を入力して特定のプログラムを呼び出すような形です。
一般的なリバーブにある「Decay」や「Time」というツマミはありませんが、プログラムが後ろにいくにつれて、より長いリバーブになる傾向がありますので、Programノブがタイム代わりのような感覚で使って頂くとよいのかな?と思います。
また、後半のプリセットはリバーブ以外にもリバース系、ディレイ、コーラスのようなサウンドも収録されているのが特徴です。
このAmverbもその操作性を引き継いでいます。
BankスイッチとProgramノブを使用して、MIDIVerb2から厳選された64プログラムを使用可能です。
オリジナルに比べると高域と低域の2バンドEQやプリディレイが増えているので、かなり使い勝手が上がっていると言えます。
プログラム後半に収録されている「Bloom」と呼ばれるプログラムなどは絶品ですね〜
レベル管理の注意事項...
さて特にAmverbで顕著なのですが、古いプログラムを再現している為、動作ビットレートが昨今よく見られる24bitや32bitではなく、16bitです。(Amverb= 入力13ビット/出力16ビット)そして、それらのラック機材の基準入力レベルはギターよりも大きいラインレベルが主流でした。
その為、ラインレベルよりも音量の低いギターレベルの音量を、ノイズが比較的大きい低ビットレートで処理した上で、これらの後にゲインを稼ぐような使い方をすると、S/N的には注意が必要になります。
これは裏を返せば、「なるべく大きな音量」で「ゲイン等を稼ぐ機材の後に繋ぐ」事で回避可能ですので、ご安心ください。
ですので、可能な限り「プリアンプ通過後の信号」を入力してあげる事をおすすめします。


買うのは1台でOK?!
この Daedalus シリーズですが、なんと異なるエフェクター間でファームウェアを換装可能です。
つまり、どちらかを買えば、シリーズ全てのエフェクターに変身可能なのです!
必要に応じて3機種を行き来可能という恐ろしいエコノミックシステム...!
ファームウェアの入れ替えにはPCとのUSB接続が必要なのですが、手順は簡単です。
USBバスパワーでも動作するので、本当にUSBケーブルで接続するだけというのがまた気が利いていますね。
まずは1台買ってみるだけで3台分手に入るだけでなく、それぞれのファームウェアで非常に奥深いセッティングを楽しめるエフェクターなのは間違いありません。
英国からやってきた異端児、Ghost Note Audio。 ぜひ店頭でお試しください!
次回の記事はSimple is BestなMIDIコントローラー、MIDI Conductor MkIIのご紹介です!








